Workshop activities in the Labo
This post is also available in: 日本語
インターネット社会においては、従来からの価値観や、情報に対する認識が、大きく変化してきています。 そのような状況において、大学にいる時だけでなく、社会に出てからも通用する力をつけておくには何を学び、身につけていれば良いのでしょうか。 私の研究室では、いわば「学ぶ」ということに対する「基礎体力づくり」を目指した、少し変わったゼミを実施しています。 ここでは、これまでに研究室で行ってきたゼミ内容の幾つかを、簡単に紹介します。
- 自動翻訳ゼミ
- ネットで公開されている翻訳ツール群のみを使って、英語論文が書けるようになるためのゼミ。翻訳ツールはそれなりの文章を出力できるようになりましたが、まだ変な文章を生成するため使い物にならないと思われています。前処理ソフトやユーザ辞書などをうまく組み合わせて、学会発表にも通用できるレベルの英文がどうしたら出力できるようになるかトライするゼミです。
- Visualizationゼミ
- 今や多次元的なデータが簡単に多量に測定できる時代となりました。またネット上からも簡単に多様なデータが得られるようになってきています。しかし、そのデータの塊から意味のある情報を見出すためには、グラフのような形式で視覚化することが有効とされています。Excelは簡単に2次元グラフを作ることはできますが、3次元や4次元以上の図式化には向いていません。多次元データの視覚化が可能なParaviewは各種OS上で実行できるフリーソフトです。このソフトの使い方を習得すると共に、自分で集めたデータなどを使って、普通の使い方ではない方法で、3次元以上の視覚化表示ができるようになることを目指したゼミです。
- 図解ゼミ
- プレゼンテーションは、今や大学だけではなく、社会のあらゆる場面で欠かせないものとなっています。図解ゼミは、自分の言いたいことが一目で判るような資料を自分で作れるようになることを目指したゼミです。発表資料の作成にはパワーポイントが良く使われて、その中には支援ツールなども入っていますが、それを利用しさえすれば、自分の意図する内容が伝わるとは限りません。図解ゼミは、自分の意図した内容を相手に正しく伝えるために、図形や矢印、配置の方法などの基本をマスターし、それらを自由自在に使いこなして、ありとあらゆる内容を図式化する方法を身につけます。社会人になった時に、プロジェクトや予算申請など、自分のやりたいことを実現させるために多くの場面でプレゼンが必要となっています。このゼミの効果を卒業後に再認識し絶賛した卒業生から、研究室での継続を要請されたゼミです。
- Pythonゼミ
- Pythonとは、プログラミング言語の一つです。日本ではあまり知られていないようですが、海外ではとても有名で、googleのwebプログラミングにも使われている言語です。なぜ JavaやC++を使わないのかと疑問に思う人もいるかもしれません。
- 機械情報工学の世界では、設計(CAD)や解析(CAE)、生産(3Dプリンター)のためのフリーソフトが多数出回るようになっていますが、多くの場合、JavaやC++よりも、pythonとのインターフェースを備えるようになってきています。いろんなソフトを結び付けて、効率的な仕事をしようと思った時には、pythonは最も簡単な手段となってきているのです。この意味する事は、すなわち、あるアイデアを誰よりもすぐに実現できるかどうかは、pythonを知っているかいないかで、大きな差が出てくるということです。自分が将来できる事の拡張性を考えた時に、pythonを使いこなせる事の意味が解ると思います。このゼミでは、pythonの基本を身につけ、いろいろなソフトをコントロールできるようになる事を目指しています。
- 絵画鑑賞ゼミ
- 理系の学生にとっては、絵画なんて、と思うかもしれません。しかし、絵画の中には視覚的には多くの情報が含まれています。絵画の中から情報を読み取るのに理系や文系、年齢も一切関係ありません。このゼミでは、絵画を例題として、分析力と表現力を身につける事を目指しています。一見雑多とも思える絵画を観察し、そこから全体的な印象や、構成パーツの意味などを考えながら自分の言葉で表現することで、鳥瞰的、微視的な観察力を磨きます
- 論文審査ゼミ
- 論文はどのような構成を取ればよいのか。各学会で論文賞等を受賞した論文をネット上で探して読み、その内容を分析して要約すると共に、論文賞の審査用紙に基づいて、どの観点で優れているかを、各自で審査してみるゼミです。良い論文とはどのようなものなのかどのような論文を書けばよいのか。論文作成の基本を身につけると共に、また将来、研究者を目指す人には欠かせない力をつけていきます。
この様なゼミの他に、各自の研究テーマについて、個別ミーティングを適宜行っています。 また学外においては、企業に勤める若手の技術者達と共に、定期的な勉強会(ワークショップ)を、実施しています。 このワークショップに参加する事で、製品開発業務で必要となる能力を磨く機会が得られ、企業の技術者達と知り合いになれるだけでなく、会社での開発とはどういうものなのか、その一端を知る機会が持てます。